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相田倫千先生のコラム 『英語をキャリアとして一生続けていく』 大学卒業後、米ニューヨーク州立大学、オレゴン州立大学でジャーナリズムを学び、帰国後、ISSインスティテュートに入学。現在はフリーランスの通訳者・翻訳者として、主に半導体、産業分野のエキスパートとして活躍中。

第8回:踊る通訳‐健康と体型維持をどうするか?

みなさまこんにちは。
さきほど衛星放送の米メジャーリーグのニューヨークヤンキース対シアトルマリナーズの試合で、イチローがヤンキースのユニフォームを着て打席に立っているので、「え??、なんかパロディ?」と思ったら、その4時間前にマリナーズからヤンキースへ移籍したというニュースが外国のニュースで入りました。きっとまだ誰も知らないだろうと友人にメールをしましたが、本当にびっくりです。いつまでもチャレンジする精神を持つことは素晴らしいと思います。
・・・・とまぁ、前置きはさておいて、今日のテーマは「踊る通訳‐健康と体型維持をどうするか?」です。
翻訳者は、一日中パソコンの前に座り仕事をしているので、自ずから「姿勢の悪さ」を意識しますし、周りも「一日中パソコンで仕事しているので肩こらないようにする」ことを喚起してくれます。でも通訳の方が、同じ姿勢を続けることが多く、肩こりもひどくなるし、ずっと同時通訳をしていると頭痛もします。誰も注目はしてくれませんが、そうなのです。通訳はさっそうとフットワーク軽くどこでも依頼の場所へ行くので、活動的と思われているのでしょうが、意外と肩こりに悩む人は多いです。
とはいえ健康で仕事を続けて楽しい毎日を送りたい、しかも体型も維持したいとなるとどうしたら良いのでしょう?特に40を超えると。

私の健康法ですが、30代後半で始めたクラシックバレエを数年ブランクの後、再開したことと、レッスンのない日はキッチンバレリーナをすること、毎日犬の散歩をすることです。あとは、しっかり食べてできるだけ寝るということですね。バレエを始めたきっかけは、次男の保育園のママ友達がバレリーナだったこともあり、強く勧められて始めました。年をとると筋力が衰え、内臓が下がり、保持する力がなくなるから体調が悪くなるし、病気にもなるという論です。また60歳でも格好良くレギンスをはきたいというミーハーな気持ちも手伝ってのことです。

通訳をする時の姿勢って、意外と悪いのです。まずスピーカの方を凝視してしまいます。きっとスピーカの方、怖いでしょうね。別に凝視したからといって聞こえやすいことはないのですが、表情やジェスチャーによって、言っている内容が否定なのか肯定なのかを推測することが出来るので、訳す時の助けになるのです。そうすると自分の通訳の持ち分である15分間ずっと同じ姿勢でいることとなり、一日8時間の会議が終わると、背中も痛いし肩もばりばり凝っています。またスピーカの方をじっと見る時、瞬きを忘れてしまっていることが多く、目も疲れます
このような時には、帰宅後お風呂の後、キッチンでバレリーナをします。細長いキッチンマット、あれがバレエのストレッチに最適なのです。あのマットの上で、両足の前後開脚、プリエ、お腹の腹筋を使って1のポーズ、背筋をつけるためのそり運動、足を左右に広げて頭を前の床につける、最後はY字に足を上げる。ここまでで約10分です。これ以上すると疲れるのと、仕事がある日は準備もあるので、10分以上はしません。人間、これ以上はやってはいけないと決めると案外やってしまうものなのです。「10分以上しなくてはいけない」と「10分以上してはいけない」とでは、実際のエクササイズの時間は2分ほどしか変わらないでしょうが、心理的にはずいぶんと違います。バレエでなくてもヨガでも良いし、ただ単に外を歩くことでも良いのです。ただ、歩くだけでは肩こりはとれないし、体型維持はできないので、やはり筋トレのようなものを組み合わせると良いと思います。

ただ、ここで気をつけなくてはならないのは、本職は通訳そして翻訳であることを忘れないことです。お仕事の依頼が来たらそちらが優先なのは当たりまえです。ですからバレエのレッスン、ひいてはその他のスポーツなども、基本的には発表会みたいなものがないクラブ、またはあっても成人(中年)クラスは参加しなくても良い、そして「チケット制」。これが鉄則です。主たるものと従たる趣味の優先順位を間違ってはいけません。またチケット制クラスの生徒さん達はたいてい仕事を持っている、または健康管理や趣味で通っている人達で、バレリーナになりたい熱心な人達がいないので、ラクなのです。私はかつて発表会のあるバレエ団でレッスンをしていて、クラスの雰囲気にのまれて発表会の出演を承諾して、大変な目にあいました。リハーサルの週に、大きな仕事が入ったのです。もちろん仕事を優先しましたが、クラスの人にはとても冷たくされました。結局そのバレエ団を辞めました。

また趣味であるバレエと技術系や会計などの通訳とは、まったく離れた世界。厳しい仕事のあと、クラシックの曲にあわせてバーレッスンをして踊るととても癒されます。肩こりもほとんどなくなりました。姿勢の悪さも矯正されます。

このコラムを読んでいる皆さんは、まだ通訳になるための勉強中か、通訳になっているとしても駆け出し期間なのだと思います。とてもじゃないけど、クラシックバレエみたいな趣味、精神的にも時間的にも余裕がないと思っておられるのではないでしょうか?でも、健康は全ての基本なのです。健康維持を半日かけてやる必要は全くなく、毎日10分か15分、少しずつ自分一人でできることをやってみてください。通訳をしていると、他人とするスポーツや団体競技は基本的にはできません。海外出張などが入ると、練習には行けませんから。
通訳(英語)という「文」、スポーツという「武」、文武は両方とも必要だと思います。日ごろは「静」の通訳や翻訳に従事しているのですから、「動」の動くことを生活に取り入れてストレスとうまくお付き合いすることも大事だと思うのです。

今回のコラムは、英語とは全く関係のないことになりましたが、「踊れる通訳」ってそんなにいないと思います(笑)。いやいや、世界に名だたるバレリーナの通訳がいつかまわって来ないとも限りません。その日のために、クロワゼ、プリエ、デガジャなどなど専門用語を身につけておきたいと思います。

次回は「プロになってからの勉強の仕方」です。しばらくぶりに本題に戻りますので、ご期待を!!

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