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塚崎正子先生のコラム 『ある実務翻訳者のつぶやき』 お茶の水女子大学文教育学部外国文学科英文学(当時)卒業。電気メーカーに入社後、フリーランス翻訳者となる。移動体通信、コンピュータ、医療機器を中心とした分野に関する各種マニュアル、学術論文、契約書などの英日/日英翻訳を手がける。

第3回:翻訳の勉強方法 ~日本語から英語へ~

今月は先月とは逆に、日本語から英語への翻訳の勉強方法です。英日と違い、日英は翻訳の力に個人差が大きいです。ごく基本的なところの勉強方法から、段階を踏んで説明していきますので、ご自分にあったところから試してみてください。

センテンスからパラグラフへ
ステップ1 センテンスを訳す
まずはセンテンス単位で文法的に正しい英文を書けるようにします。自動詞と他動詞、単数と複数などの区別はもちろん、日本人が苦手とする冠詞や前置詞にも注意を払います。この時、助けとなるのが辞書、とりわけ英和活用辞典と呼ばれるものです。また主語や態を変えて1つの日本文から複数の英文を書いてみて、印象がどう変わるか考えます。一般に実務英語の場合、シンプルな文章が好まれます。

ステップ2 パラグラフを訳す
きちんと訳されたセンテンスをただつなげただけでは、パラグラフの翻訳としては必ずしも成功とは限りません。翻訳の最小単位はセンテンスではなく、パラグラフです。パラグラフ全体を通じて、訳文の流れが自然かどうかに注目します。例えば、そのパラグラフのキーワードが、訳文の中心となっていますか。主語や態がコロコロ変わって読みづらくありませんか。一つ一つのセンテンスの長さも大事です。1つのパラグラフに、短いセンテンスと長いセンテンスがほどよく混ざっていますか。不自然な流れを直す際に、ステップ1のセンテンスライティングで説明した、複数の英文を書く練習を思い出し、別なスタイルの訳文に書き直してみます。

英語表現のストックを増やしましょう
パラグラフの流れを意識して英文を書いていくと、時々、主語をこれにしたいけれど、どのように英文を組み立ててよいかわからない、といった場面に遭遇することがあります。ここで私たちが陥りやすい間違いは、辞書から引っ張ってきた単語や複雑な構文にトライしてしまうことです。ネイティブの書く英語は意外に、おなじみの単語でシンプルな構文で書かれています。例えば、provideやavailableは辞書で網羅しきれないほど、実に様々な状況で使われています。

ストックを増やすのに有効なのは、ネイティブが書いた新聞記事などの精読です。読みながら、前述のprovideのようによく知っているけれど、自分ではこの場面では使わないなと思った単語に注目していきます。またセンテンスライティングのところで触れた、冠詞や前置詞の確認にも、新聞の精読は役立ちます。冠詞がaからtheに変化するきっかけや、前置詞と仲の良い動詞や名詞、形容詞にポイントを絞って読んでみてもよいかと思います。

脱、直訳! 脱、日本人英語!
先月から今月と読まれた方はお気づきかと思いますが、英日の勉強法も日英の勉強法も、つまるところは辞書を活用して読解力を付け、良質なものをインプットして表現力を磨くことです。

英日作業で直訳になりがちなところは、実はネイティブが好む英語らしい表現のところでもあります。ですから、訳しづらいけれど英語らしい表現を覚えておいて、日英作業に生かすとネイティブに近い英文が生まれます。直訳になってしまう「ピンチ」は、裏を返せば、英語らしい表現を身に着ける「チャンス」でもあります。そういう意味で、英日の勉強と日英の勉強は表裏一体の関係にあるので、常に両方の側面を意識して勉強してくとよいと思います。

次回は、勉強に欠かせない辞書について詳しくみていきます。

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