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塚崎正子先生のコラム 『ある実務翻訳者のつぶやき』 お茶の水女子大学文教育学部外国文学科英文学(当時)卒業。電気メーカーに入社後、フリーランス翻訳者となる。移動体通信、コンピュータ、医療機器を中心とした分野に関する各種マニュアル、学術論文、契約書などの英日/日英翻訳を手がける。

第8回:在宅翻訳者の一日 ~天国と地獄~

夏真っ盛りの8月。俗にニッパチと呼ばれ、2月と8月は売り上げが減ると言われています。確かに8月は暑いうえに、お盆休みなどが入るため企業の稼働日数が他の月より少ないことも影響するでしょう。翻訳の仕事も一般には減少します。ただ場合によっては、企業の休み中に仕上げてほしい仕事が依頼されたり、在宅翻訳者の場合、学校が休みになるなどして翻訳の仕事に従事できる翻訳者の絶対数が一時的に減少したりして、思いがけず忙しくなることもあります。

今月はそんな在宅翻訳者である私のある一日を振り返ってみたいと思います。まずは、(滅多にないですが)抱えている仕事の納期にゆとりがあるときや、仕事を納品した直後、次の仕事が来るまでの間などの、「天国」な一日。

午前中、まずは家事からスタート。普段気になりつつ目をつぶっていた箇所を掃除し、天気が良ければカーテンなどの大物を洗濯。その後、仕事があれば仕事を、なければ過去の仕事を整理して、今後の翻訳に使えそうな文章や単語をリストアップし自分なりの用語集をまとめたり、ネットで海外のニュースサイトなどを見てまわり情報収集にいそしんだりします。

午後からは趣味にあてます。私は映画が好きなので、映画館によく行きます。映画の字幕といったら、一昔前は戸田奈津子さんの独壇場だったのですが、最近は色々な方がクレジットされています。映像翻訳は専門外ですが、それでもいろいろな字幕翻訳者の比較ができて楽しいです。また、普段座りっぱなしで腰痛気味なため、スポーツクラブのプールで何も考えず泳いていることもあります。

料理も嫌いな方ではないので、夕食では新メニューに挑戦。食後はゆったりとした時間を過ごし、0時前には就寝…。

ここまでが「天国」な一日だとしたら、次は急ぎの仕事が突発的に飛び込んできた場合の「地獄」の一日。

まず、朝食後、家事もそこそこにパソコンの前に座って仕事をスタート。キーボードを叩く音だけが室内に響き渡ります。気が付くと、お昼もとうに過ぎていたため、慌ててありあわせのもので簡単な食事。昼食後も、消化に悪いなと思いつつパソコンの前へ。

急ぎの仕事が入ると、当然のごとくスポーツクラブはあきらめ、友人とランチの約束をしていてもキャンセル。そのせいか、私の友人は同じようにフリーランスの仕事をしている人が多く、ドタキャンされても恨みっこなしの間柄です。

また、買い物に行く時間や料理の時間も惜しいから、翻訳に追われる日が続くにつれ、夕食は段々と品数が減っていき、この時期なら冷奴や納豆が高い頻度でお目見えします。

さらに家にこもり、パソコンの前に座り続け体をろくに動かさないため、腰が張ってきたり、便秘になったり、つい甘いものを口にしてしまうため太ってしまったりと、体に様々な支障が出てきます。

ただし、どんなに時間がなくても、夜には仕事をしないと決めています。というのは、はるか昔の受験生の時代から、夜になると自分の集中力が極端に落ちるのを知っているためです。結局、翌日にやり直す羽目になります。

こんな風に「天国」な一日と「地獄」の一日を繰り返しながら、日常が進んでいきます。ただしこの「天国」と「地獄」、あくまで精神的、肉体的側面での話です。金銭的側面となると、状況は逆転してしまいます。ここが、フリーランスの辛いところですね…。

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