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プロ通訳者・翻訳者コラム

気になる外資系企業の動向、通訳・翻訳業界の最新情報、これからの派遣のお仕事など、各業界のトレンドや旬の話題をお伝えします。

藏持未紗先生

藏持未紗先生のコラム 『流れに身を任せて』 高校時代に1年間アメリカに留学。国際基督教大学教養学部を卒業。2008年にアイ・エス・エス・インスティテュートに入学。在学中よりメーカー、製薬会社等で社内通訳者として経験を積む。同時通訳科を経て、現在はフリーランス通訳者として稼働中。

第8回:通訳者になるには

先月のコラムで大阪北部の地震について書いた直後に、残念ながら今度は西日本の大雨により甚大な被害が生じ、多くの方が犠牲になったり、避難生活を余儀なくされています。気象庁が災害と認識するほどのこの猛暑の中、復興作業も難しい状況かと思いますが、被害にあわれた方々に少しでも早く支援の手が届き、元の生活に戻れますようお祈りいたします。

これまで、通訳者としての心構えや、通訳や言葉の難しさ等についてお話をしてきましたが、ここからは実際の通訳者の仕事の詳細にフォーカスを当ててお話していきたいと思います。

まず、どうすれば通訳者になれるのか、というのが皆さん一番気になることかと思います。私も通訳者になろうと決心し色々と調べた際、どの求人を見ても「通訳経験〇年以上」という記載があり、いったい未経験の新人はどうやって経験を積めば良いのだろうと疑問に思ったものです。

当時、ホテル退職後は普通のアルバイトをしながら通訳学校に通っていたのですが、自分なりに調べたり、人に相談したりした結果、まずは英文事務や国際会議のバイリンガルスタッフの仕事など、少しでも英語を使う仕事をやってみることにしました。また、自治体のボランティア通訳の登録も行うなど、実績になりそうなものは色々と試してみました。学校の先生にも「通訳の実績表には、その仕事が有償か無償かを書く必要はないんだから、少しでも通訳をしたら堂々と実績として書けば良いのよ」とアドバイスをいただいた記憶があります。また、英文事務のアルバイトをしていた際、通訳者を目指していることを周りの社員の方に伝えていたので、プロの通訳者の方が入る会議を勉強のために傍聴させてくださったり、世界中からゲストが集まる会議の本編以外のちょっとした会話の通訳を任せてくださったりと、色々な機会をいただくことができました。

それ以外にも、知り合いの方のご紹介で、海外の映像の音声を日本語の文字に翻訳する映像翻訳や海外の記事の翻訳のお仕事も定期的にいただけるようになり、英文事務のアルバイトと並行して行うようになりました。

2年ほど経ち、通訳学校のクラスもある程度進級したところで、通訳の派遣エージェントに登録することを決めました。最初はやはり通訳の実績がほとんどないこともあり、社内翻訳者としての採用で、頑張りが認められれば通訳も少しさせてもらえるかもしれない、という条件で初めてのインハウスの仕事をスタートさせました。幸い、派遣先の上司の方も他の社内通訳者の方も良い方で、比較的すぐに通訳のお仕事もアサインしてくださり、とても勉強になりました。ただ、やはり学校の授業で通訳するのとは勝手が違い、思ったように訳せずに意図が伝わらず、誤解や混乱が生じてしまったこともあり、自分の不甲斐なさに涙したこともあるなど、大変苦いデビューとなりました。

その後、少しずつ通訳の割合の多い仕事に変えていき、最終的には通訳専任のポジションに就くことができました。複数の業界のお仕事を経験し、通訳学校も卒業し、タイミングの良いところでフリーランスで稼働することを決心し、今に至ります。

もちろん例外もありますが、通訳学校に通い、OJTや社内通訳の仕事で経験を積み、フリーランスになるというキャリアアップの仕方が多いように思います。経験を積むのには時間がかかりますが、その間にできることは多くあります。通訳者として採用されなくても、会社に勤めることで一般的なビジネスに関する知識や業界の知識が身に付き、それは将来通訳者になった時に大きな武器になります。翻訳メインの仕事であっても、努力やスキルが認められれば通訳もさせてもらえることもありますし、時間をかけて調べて訳出を考えることのできる翻訳をやることによって、自分の表現の幅を広げることもできるかもしれません。

自分の心がけ次第で、どんな経験からも学び、自分の力にすることはできます。まずは、いま自分がいる環境の中で、最大限の努力をして貪欲に色々なことを吸収してみていただきたいと思います。

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