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気になる外資系企業の動向、通訳・翻訳業界の最新情報、これからの派遣のお仕事など、各業界のトレンドや旬の話題をお伝えします。

藏持未紗先生

藏持未紗先生のコラム 『流れに身を任せて』 高校時代に1年間アメリカに留学。国際基督教大学教養学部を卒業。2008年にアイ・エス・エス・インスティテュートに入学。在学中よりメーカー、製薬会社等で社内通訳者として経験を積む。同時通訳科を経て、現在はフリーランス通訳者として稼働中。

第11回:What goes around comes around

皆さんは仕事をする上で一番大切なことは何だと思いますか?答えは人によって違うでしょうし、正解は1つでもないでしょう。しかし、どのような仕事においても、「人」が最も大切なものの1つであることは間違いないと思います。

どのような仕事であれ、1人で成立するような仕事はありませんし、どれだけ仕事ができる人であったとしても、人に対して攻撃的であったりコミュニケーションがうまく取れなかったりすれば、仕事が回って来なくなったり評価が下がったりすることもあるでしょう。これは通訳者も同じです。むしろ、通訳者には特に当てはまるといった方が良いかもしれません。

良く言われることですが、通訳業界は大変狭い世界です。現場で知り合いの通訳者の方とご一緒することは日常茶飯事ですし、時には自分が通訳学校で教わっていた先生や、クラスメイト、自分が教えた生徒さんとご一緒することもあります。そして、初めてお会いする通訳者の方でも、ほとんどの場合、共通の知り合いがいて、すぐに共通の話題が見つかります。

これは素敵なことであると同時に怖いことでもあります。もちろん何でもかんでも人に話すわけではありませんが、万が一、悪い印象を与えてしまった場合、その話が共有され、気付いたら仕事が来なくなったということもあり得ない話ではありません。自分の行いの結果は必ず自分に返ってきます(日本語では因果応報、英語ではwhat goes around comes aroundと言いますね)。

逆に言えば、人との出会いを大切にしていれば、良い結果が自分に返ってくるということでもあります。実際、私が通訳者になる決心をした後に始めた英文事務の仕事は、通訳学校の当時のクラスメイトが紹介してくれたものでしたし、今まで社内通訳者として働いたことのある企業には、それぞれ今でも仲良くしていただいている社員や社内通訳者の方がいて、定期的にご飯に行ったり、お仕事を紹介してくださったりしています。初めて通訳を使う取引先の会社に、私を推薦をしてくださったこともありました。

また現場でパートナーの方と組む場合は、お互いに協力、サポートし合わなければいけない場面が多々あります。その場合にも、「前回ご一緒したときは色々と助けていただいたので、今回は私がサポートします」という会話や、通訳環境や体力的にタフな現場であったとしても、「パートナーによってはもっと大変になっていたかもしれないけれど、〇〇さんと一緒だったので無事に乗り切れました」といった会話が良く聞かれます。

フリーランスの通訳者の場合は特に、毎回異なるお客様と異なるパートナーの方とお仕事をするので、良い経験も嫌な経験も1回キリな側面もありますが、長期的にみると、思わぬところでつながって1回キリだと思っていたことが後々大きな影響を及ぼすこともあります。それよりは、1つ1つの出会いを大切にして、ネットワークを広げていくことで、思いがけずチャンスを手にすることもありますし、現場で助けていただけることもあります。

どのような仕事も最終的には「人対人」です。ぜひ、まずは今自分のいる環境での1つ1つの出会いを大切にして、切磋琢磨しながらもお互いを助け合って良い関係性を築くところから始めてみてはいかがでしょうか?

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