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豊田実紗先生

豊田実紗先生のコラム 『一歩ずつ、丁寧に』 青山学院大学大学院法学研究科(フランス法専攻)修士課程修了。法律関連の資格を複数取得した後、それらの知識を活かしつつ語学に関する仕事に就きたいと決意し、翻訳学校にて実務翻訳の講座を受講。その後、在宅チェッカーとして業務を開始。現在は、在宅フリーランスの翻訳者として、おもに法律分野・行政分野の文書を中心に、その他、観光・文化芸術分野などの翻訳に携わっている。

第1回:はじめまして

はじめまして、豊田実紗(とよた みさ)と申します。今回から、こちらの連載コラムの執筆を担当することになりました。とても光栄で嬉しくて、今からワクワクしています。どうぞよろしくお願いいたします。
振り返ってみると、私は決して順風満帆な人生を過ごしてきたとは言えません。30歳を過ぎてから、やっとスタートラインに立つことができました。まさに遅咲きの人生、社会の仲間入りを果たせたのは、つい最近のような気がします。

たまたま私は、今年の終わりに40歳になります。それと同時に、翻訳がらみのお仕事を開始してから、ちょうど今年で丸10年になります。このような節目の年にこのような連載コラム執筆の機会をいただけて、感謝の気持ちでいっぱいです。こちらのコラム執筆を通じて自分自身の人生を振り返ることができる機会をいただけたことを、とても感慨深く思っています。だからこそ真剣に、正直に、翻訳のお仕事や勉強に対する自分の信念や想いを執筆していきたいです。まさに一つずつ、一歩ずつ丁寧に。これは、私が翻訳のお仕事をするうえでの信念です。

「どんなに少量で些細なお仕事であっても、与えられたお仕事をひとつひとつ丁寧におこなっていけば、お客様に信頼してもらえて、必ず次のお仕事や新たなご依頼に続くはず。」これは、私の大学院時代の恩師のS先生が、私が20歳代の終わり頃に人生に悩んで困り果てていた際に投げかけてくださったメッセージです(このエピソードは、次回以降のコラムで詳しく取り上げるつもりです)。この言葉を胸にしながら「何としてでも10年間は、這ってでも翻訳の仕事を続けるぞ!!まずは10年間、翻訳業界で生き残ることができたら、きっと一生の仕事になるはず。頑張ろう、ファイト!!」と心の中でつぶやきながら、自分自身を励ましつつ、今まで過ごしてきました。

翻訳作業とは、単に原文の内容を大まかに理解・把握したうえで、別の言語を用いて文章に概略的にまとめる作業ではありません。それでは概要文・要約文になってしまいます。翻訳作業においては、原文の用語ひとつひとつを省略しないように丁寧に一語ずつ訳出していくことが必要となってきます。緻密で集中力の必要な作業であり、とても神経を使う作業でもあります。なんとなく訳せばいいのではなく、常に理論的な根拠や裏付けがあったうえで翻訳作業をおこなっていくので、理屈っぽい私としてはとても楽しい作業であり、大好きです。そしてまた、特に実務翻訳においては、簡潔で分かり易い正確な訳文を作成しなくてはなりません。それはとても難しく、頭をフル回転させる必要があるので、いつも実務翻訳の作業を終えた後は、疲れてフラフラになっています。頭脳労働でありながら、まさに体力勝負のお仕事です。とはいえ、上手に訳せたときの嬉しさは格別です。何とも言えないぐらい、飛び上がるほどの嬉しさと爽快感を感じます。今までの疲れが一挙にぶっ飛ぶような感じがします。そのような魅力いっぱいの翻訳について、このコラム連載を通じて色々とお話できればいいな、と思っています。

具体的には、私が翻訳の勉強を始めるまでの経緯や勉強を始めた頃のエピソード、翻訳会社のトライアルに無我夢中になって取り組んでいたこと、チェッカーのトライアルに合格してチェッカーのお仕事を開始した当初のお話、翻訳者のトライアルに合格するまでの汗と涙の苦労の日々、さらにお仕事を拡大させるために翻訳会社に突撃訪問したエピソード、その後にチェッカーとして翻訳会社のオンサイト業務をおこなった経験談、翻訳学校で講師としてお教えすることになった二足のわらじの日々、などなど。今までの人生を振り返りながら、今現在に至るまでの日々について、この連載コラムを通じて赤裸々に正直にお話したいと思っています。

このコラム連載を読んでくださっている誰かの今後の人生の岐路や進み方に関して、こんな私であっても、なにか少しでもお役に立つことができれば、とても嬉しいかぎりです。読んでくださっている皆さんに勇気とパワーをお与えすることができるように、次回コラムから執筆していきます。どうぞよろしくお願いいたします!!

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