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豊田実紗先生

豊田実紗先生のコラム 『一歩ずつ、丁寧に』 青山学院大学大学院法学研究科(フランス法専攻)修士課程修了。法律関連の資格を複数取得した後、それらの知識を活かしつつ語学に関する仕事に就きたいと決意し、翻訳学校にて実務翻訳の講座を受講。その後、在宅チェッカーとして業務を開始。現在は、在宅フリーランスの翻訳者として、おもに法律分野・行政分野の文書を中心に、その他、観光・文化芸術分野などの翻訳に携わっている。

第2回:運命的な出会い【NEW】

今回は、私がプロの翻訳者を目指すきっかけとなった運命的な出会いについて、お話しいたします。

中学・高校時代から、英語の勉強は好きでした。しかし、どの学年でも同じクラスに帰国子女たちが多かったので「私はどう考えても、この帰国子女の友人達から比べたら語学が得意とは到底言えない・・・」と思ってしまい、まさか現在のように語学を武器にした仕事をするとは夢にも思っていませんでした。

ところが、大学に入学して法学部に進学した私は、大学2年生の終わり頃に運命的な出会いを果たします。法学部のゼミに入るにあたり、K先生という男性教授のゼミに運良く入ることができたのです。K先生は日本の法律をゼミのテーマになさっていたものの、実は外国法(フランスの法律)がご専門だったのです。実際にゼミに入ってK先生の素敵なお人柄に触れて「今後も引き続き法律の勉強をしたい」と思い、大学院に進学してK先生のご指導に基づいてフランス法を勉強したい旨をK先生にご相談しました。その際にK先生がおっしゃった一言が、あまりにも衝撃的でした。「今から早速、アテネ・フランセ(フランス語の語学学校)に通学して、フランス語の勉強をしなさい。豊田さんはきっと将来、語学を武器にした仕事に就くだろうから語学の勉強が役に立つはず」とのお言葉でした。「せっかく私は法律の勉強をしたいと思っているのに、なんで語学なのよ?!」と正直言って不満に思ったものの、とりあえず試しに行ってみようと思い、大学4年生の1年間、毎週1回アテネ・フランセに通学しました。基礎レベルの会話クラスだったので、フランス語の発音や文法などについてフランス人の男性の先生から教えてもらいました。その授業が、皆勤賞で出席したほど想像以上にとても楽しかったのです。すでに高校などで学んできた英語と比較しながらフランス語の単語や文法を学ぶことで、改めて英語の文法や英単語を復習しながら英語について客観的に見つめ直すことができたのです。

フランス語はラテン語派の言語の1つであり、英語はゲルマン語派の言語の1つなので、属する言語のグループは異なるものの、かつての中世ヨーロッパ時代においてフランス語の影響を強く受けている英語としては、フランス語に由来する英語の単語が多いです。たとえば、charge「料金」、debt「借金・負債」、court「宮廷・法廷」、budget「予算」、judge「判事」など。今振り返ってみると、こうしてフランス語の語学学校に通学してみたことで、英語の文法などを学び直せた経験は、今現在の私自身の基盤になっているような気がします。

もう1つの運命的な出会いは、大学院に進学した直後に経験しました。たまたま興味が湧いて履修した国際人権法のご担当のS先生という女性教授との出会いです。S先生の授業は、ユーゴスラビアの内紛で生じた人権問題に関する英語の文献を毎回決められた担当者(生徒)が一週間後の次回の授業までに事前に読んでおき、その英文の内容について日本語で他の生徒たちに対して概要を説明したうえで、その後に全生徒で意見を発言し合う、という講義内容でした。その英文の内容が国際人権問題という今まで知らなかった内容だったので、とてつもなく難しく、しかもこんなに大量の英文を短期間で読んだことはなかったので、初めて私が担当者になったときには「もう死ぬんじゃないかしら・・・」と思うほど辛かったです。とにかく英語の辞書を引きまくり、図書館で用語の意味や内容を調べながら、なんとか担当分の英文を読み切って授業に挑みました。無事に私からの発表なども済ませて、そろそろ授業が終わりに差しかかる際に、S先生から意外にもお褒めの言葉を頂きました。「豊田さん、想像以上によく英文を理解できていて、びっくりしちゃったわ」とおっしゃって頂いたのです。クレームやお叱りのお言葉を頂戴するだろうと思っていた私としては、ひっくり返りそうに驚いたものの、とても嬉しくて、その後の人生において何度も励みになったお言葉でもありました。

今振り返ってみると、S先生の授業では英文の内容を大まかに掴んで日本語文にまとめただけなので、あくまでも要約文に過ぎなかったものの、長文の英語を短時間で素早く読み取るスキルが身に付いたのかな、と思っています。大量の英文に恐れないで慣れ親しむことや、大雑把であっても英文の内容を素早く把握する力というのも、翻訳作業をするうえで基盤となるような気がします。なので、日頃から英語で書かれた新聞やビジネス雑誌などを沢山読んでおくことも、翻訳者となるうえできっと役立つので、おすすめです。

そのようなわけで、上記の御二方の先生のおかげで英語・語学好きな自分を認識できたにもかかわらず、その後、思いっきり迷走の日々を送ることになります・・・。そのお話については、次回コラムで!!

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