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プロ通訳者・翻訳者コラム

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豊田実紗先生

豊田実紗先生のコラム 『一歩ずつ、丁寧に』 青山学院大学大学院法学研究科(フランス法専攻)修士課程修了。法律関連の資格を複数取得した後、それらの知識を活かしつつ語学に関する仕事に就きたいと決意し、翻訳学校にて実務翻訳の講座を受講。その後、在宅チェッカーとして業務を開始。現在は、在宅フリーランスの翻訳者として、おもに法律分野・行政分野の文書を中心に、その他、観光・文化芸術分野などの翻訳に携わっている。

第3回:迷走の日々

前回に引き続き、今回も、私がプロの翻訳者を目指すために翻訳の勉強を始めるまでの経緯についてお話しいたします。

大学院を修了した後、私は就職しませんでした。というのは「なにか専門職を一生の仕事にしたい」と思っていたことと、そして当時から「フリーランス」という響きに妙に憧れており、なにか在宅でフリーランスの仕事をしたいと漠然と思っていたからです。

そこで何を思ったのか、あんなに学生時代に大好きで没頭していた英語や語学の存在をすっかり忘れてしまい、なんらかの法律系の資格を取得したいと思うようになり、法律系の資格試験のための受験勉強をする毎日となりました。と言っても、当然ながら、なかなか合格することができず、思いっきり苦労しました。何事も容易にできることはありませんね。前回のコラムでお話ししたとおり、学生時代には英語や語学の世界に思いっきり浸っていた私としては、法律がらみの知識が圧倒的に不足していたのです。己の自業自得とはいえ、周囲の友人や知人達は社会人として活躍し始めていたのでキラキラ光輝いて見えて、とても羨ましく、そして自分自身の不甲斐なさと恥ずかしさから、なんとも言えない暗くて悲しい20歳代の日々を送っていました。私だけ世間から取り残されている感じがしたのです。しかし、なんとかしてまずは資格試験に合格しないかぎり、これから路頭に迷って生きていけなくなる・・・と焦り出した私は、その後に数年間かかりましたが、運良くおかげさまで、やっといくつかの法律系の資格の試験に合格することができました。

運良く合格できたいくつかの資格のうち、とある士業のお仕事を実際に始めてみようかな、と思ってみたものの、なにか私の胸の内にモヤモヤした釈然としない感情が生まれてきました。「私にとって、本当に好きなことは何なのか?私は一体、何をしたいのだろうか?」と、ふと改めて自分自身を顧みて、いったん立ち止まりながら自問自答を繰り返してみました。その際に、頭の中に真っ先にフッと浮かんだものが、語学つまり英語でした。遅ればせながら、やっとこの時点になって語学(英語)の存在を思い出したのです。

ならば、語学を使ってなにか私でもできるような仕事があるのだろうか?となにげなくインターネットを眺めながら検索してみたところ、たまたま「実務翻訳」というお仕事についての記事を偶然にも見つけて、「実務翻訳者」という肩書の翻訳者さんがいらっしゃることを生まれて初めて知りました。そもそも、翻訳というと「文芸翻訳」や「字幕翻訳(映像翻訳)」の印象が強く、「実務翻訳」という存在すら知らなかったのです。「ビジネスで必要とされる文書を翻訳するお仕事」ということを知って、何か根拠があったわけではないものの理屈抜きで非常に興味を持った私は、無我夢中で実務翻訳のお仕事についてインターネットで調べてみることにしました。

「人生一度きりなんだから、当たって砕けろ。挑戦しないで諦めたら、きっと後で後悔するはず。もう後悔の無い人生を送りたい。こんな私でも、できるかもしれない」と思った私は、まずは早速、前回のコラムでお話しした、大学院時代の恩師であるS先生にご相談してみました。その際にS先生がおっしゃってくださったのは「せっかく興味が持てたのならば、一刻も早く、実務翻訳の勉強を始めなさい。そして数多くの経験を積みなさい。豊田さんには、とにかく翻訳の経験が必要よ。そのためには機会があるのならば、何でも積極的に手を挙げて翻訳作業をやってみなさい」というお言葉でした。

このように思いっきり背中をどーんと押してもらった私は、その日のうちにあっという間に、とある翻訳学校の入門・基礎講座を受講する申込手続を、インターネット上で完了させてしまったのです。まさに電光石火の行動でした。

そんなわけで、まさにもう20歳代の後半になって、やっと本当に自分自身がやりたいことを見つけることができたというわけです。

次回のコラムでは、実際に翻訳の勉強を始めてから感じたこと(楽しくて嬉しいことや、大変で苦労したことなど)についてお話ししたいと思います。ご期待ください!!

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