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相田倫千先生のコラム 『英語をキャリアとして一生続けていく』 大学卒業後、米ニューヨーク州立大学、オレゴン州立大学でジャーナリズムを学び、帰国後、ISSインスティテュートに入学。現在はフリーランスの通訳者・翻訳者として、主に半導体、産業分野のエキスパートとして活躍中。

第10回:繁忙期のスケジュール管理と体調管理

ようやく暑さが和らいできましたね。今日の関東は大雨で寒いくらいでした。気温が毎日変わるので、風邪をひかないようにお気を付けください。これからは食欲の秋。栗や松茸など、私の大好きなものが勢ぞろいするので楽しみです。

さて、秋は通訳者にとっての繁忙期にあたり、本当に忙しくなります。9月から12月のクリスマス前までは海外から来日する方が多く、私たち通訳者にとっては「稼ぎ時」です。国内外ではフォーラムやセミナーを含め会議が目白押しで、多くの通訳者が必要になります。技術講演会や投資、経営セミナーなどでは、一つの会場に6人も通訳者がいることもあります。

その繁忙期に、私たちフリーランス通訳者が一体どのようにスケジュール管理をしているのかをお話しいたします。

通常、フリーランス通訳者は2社か3社、人によってはそれ以上のエージェントとおつきあいしていることが多く、「依頼が入った順に仕事をお引き請けし、一度引き請けたらその後さらに良い条件の依頼があってもご縁がなかったものとしてあきらめる」という方針でやっています。私の場合はメインのエージェントは3社ですが、それでも依頼が重なり仕事をお引き請けできないことも多いです。3社のうち、メインが1社、残りの2社がサブメインになりますが、サブだからメインだからと言って優先順位はつけていません。

特に秋の繁忙期には、2つないし3つの案件が重なることがあります。たとえそれが指名の依頼でも、身は一つなのでお断りすることになり、身が切られるほどつらい時もあります。それが継続案件の場合には本当に恐縮します。もちろん私も継続して担当したいですし、依頼元のクライアントも企業秘密や専門用語の観点から、できるだけ同じ人に通訳してもらいたいと思うのは当然だからです。

運よく重ならずにうまく会議の仕事が入ったときでも、スケジュールがキチキチに詰まってしまうと、次の会議の準備時間がとれない場合もあります。さらに、会議通訳の依頼が詰まっているときに「私にしかできない」翻訳の依頼が現れることも…。これもやらなければなりません。そのときには、通訳の仕事が終わった夜、疲れが出る前のハイテンションのうちにできるだけたくさんのページを仕上げ、翌日はチェックだけで済むようにします。ときには栄養ドリンクを飲みながら。

いかがですか、皆様、フリーランスって恰好いいと思っていらっしゃるかもしれませんが、これが現実です。入った仕事をこなす、ぬかりなくこなすという毎日です。

こういった状況でも、なんとかやりこなせないとクライアントからの期待にお応えすることはできません。ここで一番大切なのが、「健康」と「体力」です。

スケジュール管理イコール、結局は体調管理なのです。体力があれば、通訳を終えて帰宅後、夜中まで翻訳をすることもできます。そして基本の「請けた仕事は、絶対に穴をあけない」を守ることができます。私自身、ほぼ15年間通訳をしていますが、遅刻とドタキャンはしたことがありません。私が特別なのではなくこれは普通のことで、他の通訳者ももちろんそうです。遅刻した(交通事情のやむを得ない場合を除く)、ドタキャンした、という話は聞いたことがありません。交通事情である程度遅れることを想定して家を出るので、遅刻することはありえません。

とにかく普段から規則正しい生活を送り、仕事が入っているときは夜遅くまで出歩かず、私生活では無理をしません。「なんてつまらない生活」と思われるかもしれませんが、私たち通訳者はそれが幸せなんです!だからずっとこうしているのです。そしてしっかりと仕事をこなしたときにクライアントから「本当に素晴らしい通訳でした。助かりました。長年のなぞが解けました」といったお言葉を頂戴すると、もうアドレナリン全開で、やっぱり次もがんばろう、と思えるのです。思えばこうやって10数年やってきたのですね。

これから12月末まで、とにかく風邪をひかないように気を付けます。皆様もお元気でお過ごしください。

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