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プロ通訳者・翻訳者コラム

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山口朋子先生のコラム 『"翻訳"は一日にしてならず --- 一翻訳者となって思うこと』 慶應義塾大学法学部法律学科卒業。外資系メーカー勤務を経た後、フレグランス業界へと活動の場を移し、マーケティング他業務に携わる。その後、米国カリフォルニア州立大学大学院にてTESOL(英語教育法) 修士号を取得。日本帰国後、アイ・エス・エス・インスティテュート英語翻訳者養成コースを経て実務翻訳の道へ。現在は、医療・美容業界関連、その他雑誌・ホームページ記事やエッセイなどの分野から、会社規約・契約、研修マニュアル、取扱説明書、財務レポート他各種報告書などのビジネス文書等に至るまで様々な分野の翻訳を手掛けながら、同校の総合翻訳基礎科の講師を務めている。

第1回:ご挨拶。

皆さん、はじめまして。この1月から1年間にわたり、本コラム上で英語翻訳に関するあれこれを、僭越ながら自身の視点を通じてご紹介させていただくという大役を仰せつかる事となりました。普段から言葉を操るお仕事をさせていただいている身ではありますが、自分の言葉で思いを伝える、という作業は難しいと改めて感じますね(笑)。

私の翻訳者としてのキャリアは、既に十数年この世界でご活躍なさっているプロ翻訳者の先輩方に比べ、まだ浅いのですが、元ISS受講生としての経験や、師と仰ぐ方との出会い、その他さまざまな方々とのご縁に恵まれて今に至っています。少し前の私には思いもよらなかった道を歩んできましたが、その経緯について、ありのままに、等身大のお話ができればと思っています。今後ともどうぞよろしくお願い致します。

翻訳者としてご活躍の方々のほとんどがおそらくそうであろうと思うのですが、私も、最初から翻訳者を目指すべくキャリアを築いて来た訳ではありません。元から英語の学習は大好きだったのですが、若いうちに留学の機会に恵まれた訳でもなく、漠然と英語は受験に必要な、いわば「道具」のような感覚でとらえていたような所もありました。ただ、翻訳者になってみて思うのは、もともと文法の知識を増やすことに楽しみを覚えていたことも手伝って、受験対策の過程で英語の解釈の仕方、分析法といった基礎力を徹底的に培うことができたことが自分にとって非常にプラスに働いている、ということです。授業でも何度も申し上げている事ですが、やはり文法力というのは翻訳者にとって無くてはならない、そして常に必要条件として求められる要素です。翻訳者を目指す方も、社内で翻訳を任されているなどお仕事で英語力を求められる方も、文法を基礎から応用まで突き詰めて自分のものとする事は何よりも大切だと思います。派遣の社内翻訳者は特に、毎日物凄いボリュームの訳出をこなしていることと思いますし、正確さとスピードが求められるのが当然ですよね。文法は苦手、と片付けるのではなく、文法とのいわば腐れ縁には是非ポジティブに向き合っていただきたいな、と思います。つまずきがちな分野なんてゼロ、どんな難構文でもかかって来い!といったスタンスって実は大事だと思うんです。その意味でも目標と強い意志を持って、モチベーションを保ち続けられる自分なりのスタイルを、近い将来そして長い目で見た理想像をしっかり描き、築いて行く事も大切だと思います。

大学を卒業して就職したのは外資系メーカー、いきなり1カ月半のアメリカでの研修に送り込まれることとなりました。大学時代に英会話など学んでいたり、父の単身赴任先であったカナダやアメリカを訪れ、1週間ほど滞在することはあったものの、まとまった時間、生きた英語に触れる生活に身を投じたのはそれが初めての経験でした。その研修では英語を使用することもありましたが、日本に帰国して配属が決まり、日々忙しく業務に追われていくにつれ、海外からお客様がいらっしゃる際に時々英語を使う機会がある、といった程度で、日常の仕事で英語を使うことはほぼ無くなりました。その後、転職して、それまでとは全く違う香水やアロマの世界でお仕事をするようになりました。そこでは、新製品のプレスリリースの和訳のようなものや、電話やファックス、メールでのやり取りなどを通じて英語に触れる機会はありましたが所詮その程度。それからアメリカで生活するに至って、TESOL(英語を母国語としない生徒への英語教授法)のコースを大学院で学ぶことを友人から勧められ、一念発起してチャレンジしました。そこからはまさに英語漬けの毎日(笑)このお話はまたの機会に出来ればと思いますが、いわば英語を武器とした仕事に就くきっかけとなったのでした。もう全然若くない歳からのチャレンジでしたが(笑)振り返れば、一歩一歩は小さくても、コツコツ努力を重ねて行けば何とかなる!と信じて歩んで来た道だった気がします。

大学院での課程を修了し、少し自分の時間が増えて来た頃、ちょうど日本へ帰国する直前の頃ですが、ご縁があってISSの門を叩きました。修士課程で英語でのレポート・試験・プレゼン・論文などをもうお腹いっぱいという位経験し、英語でのアウトプットを嫌という程行っていた私は、英語を日本語に「翻訳」する逆のアウトプットに興味を持ち始めたのです。ISSでは素晴らしい師匠にめぐりあい、OJT等で実際の翻訳のお仕事に触れながら、時には厳しく、時には優しく見守っていただきながら成長を遂げることができ、翻訳会社のトライアルに合格して少しずつお仕事をいただくようになりました。同じ頃、師匠と仰ぐその先生から、アメリカの大学院での経験を買って頂き、同校での講師のお話をいただきました。それからは、翻訳の仕事をしながら、翻訳学校の講師というチャレンジングなお仕事も任せて頂くようになり、あっという間に現在に至っています。元々人と接することが好きな性格も手伝って、生徒さんからも数々の刺激を受けている毎日です。受講生の方には、大学生から、社内翻訳者としてご活躍の方、お仕事をやめて翻訳者を目指している方まで、実にさまざまなバックグラウンドを持つ方がいらして、色々なお話が聞けるのが楽しく、また各受講生の方の背景を踏まえたアドバイスが出来たらと思っています。こうしたご縁を大切にし、ますます精進して行けるよう、日々身を引き締めて勉強を続けて行かなくては、と常に自らに言い聞かせています。長い自己紹介となってしまいましたが、今後ともどうぞ宜しくお願いします!

最終回:翻訳愛

第23回: 類語の使い分け、コロケーションへの意識

第22回:的確な訳語の選択力をつける

第21回:文法事項ごとに体系化した訳出感覚を磨く、翻訳文法の考え方 その2

第20回:文法事項ごとに体系化した訳出感覚を磨く、翻訳文法の考え方 その1

第19回:生きた表現 -「新語」にからめて

第18回:「舟を編む」- 言葉へのこだわり

第17回:日英翻訳の要となる日本語の正しい解釈 その2.

第16回:日英翻訳の要となる日本語の正しい解釈

第15回:翻訳不可能論!?

第14回:これまで翻訳クラスを担当させていただいて ─ 授業風景のお話を交え

第13回:ご挨拶 & 翻訳者の日常とは?

第12回:今年最後の独り言 ─ 改めて考えてみる翻訳にまつわるあれこれ

第11回:翻訳は「裏方」に徹する仕事 ─ その極意と楽しさ

第10回:「翻訳の学習」を通して得た 目からウロコの訳出工夫・表現例②

第9回:「翻訳の学習」を通して得た 目からウロコの訳出工夫・表現例①

第8回:文法の大切さ ― 文法を笑う者は文法に泣く…!?

第7回:「意訳」と「誤訳」

第6回:日々のちょっとした積み重ね ─ 学習法のヒント

第5回:翻訳力アップのためのポイント その2

第4回:翻訳力アップのためのポイント その1

第3回:何故翻訳者に? ─ 私の思う、翻訳者に必要な要素

第2回:「生きた英語」に触れる生活で発見したこと。そしてISSで「翻訳」英語に出会って。

第1回:ご挨拶。

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