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西山より子先生のコラム 『Baby Stepsではありますが』 上智大学外国語学部英語学科卒業。総合電機メーカーにて海外営業職を務めた後、経済産業省外郭団体の地球観測衛星運用チームにて、派遣社員として社内翻訳通訳に従事。翻訳会社でコーディネーター兼校閲者を経験した後、フリーランスとして独立。主に、国際協力、地球観測衛星、原子力発電、自動車など、産業技術系実務翻訳通訳を手がける。

第4回:「英語ができる人」は「プロになれる?」

4月です。多くの方が新年度や新学期を迎えて気分を新たにされていることと思います。個人事業主たる私めは12月締めで確定申告をするので4月は何も年度初めというわけではないのですが、やはりこの季節になると4月から心機一転、何か新しい目標を立てたくなります。今年は、昨年の次女出産以来殆ど取れていなかった勉強の時間を少しでも確保したいというのがその目標です。ここで公言したからには守らざるを得ませんね。

なにせ小中高と「学校に行く意味がわからない」と、決して哲学的でもなく反体制的でもなく、単に勉強が嫌いだったために授業は聞かず、宿題はやらずだった私が、このように常に勉強を要する翻訳者になったことは(尤も、いかなる仕事も常に勉強だと思いますが)、実家では「我が家の7不思議」に挙げられています。できれば勉強なんて苦労はしたくない、とずっと思っていた私を変えた事件が2つあります。

1つは2001年の米同時多発テロ。高校時代に父の転勤でイギリスに住んでいた経験はあるとはいえ、それも親の庇護のもと、安全な繭の中で暮らしていたようなものであり、それ以外は基本的に平和な日本で過ごしていた私にとって、やはりこの事件は例えようもなく衝撃的でした。日本と深いつながりを持つアメリカが狙われ、そして幾度となく訪れたニューヨークが攻撃されたことで、突然現実を突き付けられ、そこからアフガニスタンの現状・窮状などを知るようになると「人生は戦いなのだ」「戦わずしては生きていけないのだ」という思いが強くなり、私にとっては英語と日本語を勉強することが戦いなのだという覚悟ができました。

2つ目は、ISS通訳コースの講師で、数年前には本コラムも担当なさったS田先生との出会いです。電機メーカーを辞職し、派遣社員として英文事務・社内翻通を手掛けながらISSでも様々な翻訳関連のコースを受講していましたが、ある時伸び悩みを感じ、夏の2日間の英語力基礎強化コースに参加しました。電機メーカー時代も、派遣先でも「英語のことなら○○さん(←当時の旧姓)」と思われていた私は、自分は英語ができるんだ、と潜在意識で過信していたようです。ところが、S田先生の授業の初っ端に出されたのが、下記の問題。

問:次の中でそれぞれ間違いを訂正してください。

- I like listening to the music.
- We had a terrible weather.
- We had a dinner together.
- Please put it in a refrigerator.
- She married with a foreigner.
- Japanese businessman has not time to play.
- He escaped from home when he was a teenager.

このような短文がずらっと20問。「これで満点取れなければプロとはいえない」と言われたのに、私のスコアは15/20。こんな実力で、ただただ漫然と翻訳コースの課題を提出し、学校に通い続けているだけでは、いつまでたってもプロになんかなれないのだ!と目から鱗。抜本的な勉強のし直しが必要!と、覚悟したわけです。

そこでまずは、その秋から、同じS田先生による「プロ通訳者翻訳者を目指す人のための英語基礎強化」なるレギュラーコースを1年にわたり受講。この1年間で学んだことは書ききれませんが、何より貴重だったのが「勉強の仕方」を学んだことでした。文法書を1冊隅から隅まで読む、英字新聞を読みながら冠詞に赤丸を付けていく、新しい専門分野に遭遇したら大学1年生レベルの専門書を日本語で2冊・英語で1冊読む、洋書を精読・多読する、などなど。私が自分の翻訳の授業で生徒さんにお伝えしている勉強法の多くは、この1年間でS田先生に伝授されたもの、或いはS田先生に伝授されたものを少し自己流にアレンジしたものです。

そしてS田先生には、翻訳だけでなく通訳も目指してみるよう助言・激励され、その結果、現在では翻訳と通訳がほぼ半々。S田先生なくしては今の私はありません。どちらも極めることができていない中途半端なまま、とも言えますが、どちらからかお声がかからなくなるまでは、翻訳でコツコツと知識を貯め、通訳で現場を見聞きし、相乗効果を楽しんでいきたいと思います。

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