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プロ通訳者・翻訳者コラム

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峰尾香里先生のコラム 『Winding roadの果てに - ある通訳者のひとりごと』 フリーランス会議通訳者。アイ・エス・エス・インスティテュート東京校英語通訳科講師。
University of Massachusetts Lowell MBA
旅行会社、厚労省の外郭団体での勤務を経て、英語通訳者として稼動開始。金融、IT、製薬の3分野で社内通翻訳者として勤務後、現在は経営戦略、国際会計基準、財務関連を中心に様々な分野で通訳者として活躍中。

第4回:ビジネスの現場を知る

このコラムも、気がつけば早くも第4回となりました。掲載の頃にはちょうど桜も満開になるかと予想していましたが、今年の桜の開花日は東京では平年より10日前後早かったとのこと。昨今の急激なビジネスの変化同様、予測はなかなか難しいようです。
それでは今回は商談会での悲喜こもごもの通訳デビューについてお話ししたいと思います。

◆まず何から手をつけるべきか
商談会の参加業種は全部で20種。総勢7名のクラスメートで各自3業種ずつ専門用語を調べることから事前準備をスタートしました。その他にも主催者からの情報収集、Incoterms(貿易条件の定義)の確認、その国特有の商習慣・文化についての勉強、また日本側の参加企業についてのリサーチなど、考えられる準備項目を全てリストアップして、優先順位の高いものから時間の許す限り取り組んでいきました。

◆当日の流れをイメージする
個別商談の会場はホテルの宴会場でテーブルが15席ほど。時間は商談ごとに50分と決められていました。通訳者は入口近くの椅子に待機して、要請に応じて各テーブルにつきます。逐次通訳なので商談自体は正味30分弱。経験者のクラスメートからのアドバイスを受けつつ、直前の数日は新規の面談あるいは既取引先などケースごとに商談の流れをイメージして準備にのぞみました。

◆緊張のピーク
当日は開始時間の1時間半前に会場に到着。主催団体の担当者の方に挨拶をすませ、当日のセミナーで配布されたパンフレットや主催者挨拶文を入手。専門用語を再度確認し、難解な地名を繰り返し発音してみるものの、どうも落ちつきません。いよいよ開場時間となり待機用の椅子に腰掛けます。一人また一人と呼ばれていき、次は自分の順番となると緊張もピークに。要請のあったテーブルに着くと、訪問企業のお客様から「英語は自信がありますが、せっかくですからプロの通訳者のお手並み拝見といきましょうか」との一言が!

◆ビジネスの現場を知る
テーブルについた段階では、緊張から表情はこわばっていたのではないかと思います。しかし幸運なことに業種は「鉄鋼業」。H形鋼、鋼矢板、線材、熱延鋼板など授業で何度も頭に叩き込んだ用語がスムーズに出ると、お客様の顔にも安堵の表情が浮かんできました。事前のシミュレーションの想定外の展開もありましたが、訳出が正しく理解されているか双方の反応を時折確認しつつ、新たに知った専門用語や略語を会話の合間にメモ書きする余裕もでて、緊張の中にも終始和やかな雰囲気で無事に終了することができました。

◆実は大切なこと- You can’t see the wood for the trees.
1つめの商談を終えて、事前準備が奏功したと胸をなでおろしていましたが、次の商談で実は大切なことを事前に勉強し損なってしまったことに気がつき、大いに後悔しました。その大切なことが何であったかについては、次回また改めてお話ししたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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