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峰尾香里先生のコラム 『Winding roadの果てに - ある通訳者のひとりごと』 フリーランス会議通訳者。アイ・エス・エス・インスティテュート東京校英語通訳科講師。
University of Massachusetts Lowell MBA
旅行会社、厚労省の外郭団体での勤務を経て、英語通訳者として稼動開始。金融、IT、製薬の3分野で社内通翻訳者として勤務後、現在は経営戦略、国際会計基準、財務関連を中心に様々な分野で通訳者として活躍中。

第23回:「エージェント登録」その2~キャリアパス~

今年も街中で「かぼちゃのおばけ」Jack-O'-Lantern (ジャックオゥランタン) を目にする季節がやってきました。ハロウィーンも今やバレンタインデーやクリスマスと並ぶ人気行事になりつつあるようです。その由来は、紀元 800年代のオール・ハロウズ・イブ(万聖節の前夜)という祝日にまでさかのぼるとのこと。2000年以上前に存在したケルト人は、新年の前夜であった10月31日の晩は幽霊が生者といっしょになって過ごすことが許されると信じていたそうです。夜になると僧たちがたき火を囲み、用意した料理を町のはずれに置いて、新年が来る前に幽霊が平和に去ってくれるように祈っていたようです。(※About the USA, Embassy of the United States in Japan )その発祥を紐解くと、日本のお盆を彷彿させます。なんだか親近感がわいてくるのは私だけでしょうか?
それでは本題に入りましょう。前回のコラムの最後に書いたとおり、エージェントの門を叩く前に準備しておくことは色々あると思います。実際、通訳エージェントに登録するまでは試行錯誤の連続でした。今回は私自身の経験を書きますが、あくまでも一個人の体験であり、また十数年前のことです。このまま踏襲すれば同じ結果になるとは限りません。「こんなキャリアパスもあるのか。」とご参考程度にとどめていただけると嬉しいです。

通訳学校在学中に参加したOJT後に、エージェントの営業担当者と話をする機会がありました。職務経歴を話すと、開口一番「外資系企業での就業経験がないので、社内通訳者として紹介することは難しい」(※注:現在では通訳市場を取り巻く環境も、採用基準も当時とは異なると思います。)まだ修業中の身、登録するのは遠い先のことと思ってはいましたが、一瞬未来が閉ざされたような真っ暗な気持ちになりました。気を取り直して、今の自分がすべきことを思い切って質問してみました。

今振り返ってみると、この日がターニングポイントとなりました。経験豊富な担当者のその後のコメントは厳しいながらも実に的確でした。通訳者になるというぼんやりとした「夢」を具体的な期限付きの「目標」に落とし込んでいこうと決心しました。アドバイスをもとに、通訳市場で求められるものと今の自分が持っているものとのギャップをどうしたら埋めていくことができるのか、自分の頭で考えました。
まだ取得していなかった語学系の資格を年内に取る、次の期でのクラス進級を目指す、OJTを積極的に利用する、その際フィードバックを受けて改善点はすみやかに修正する、職務経歴書を常に最新のものにして、企業で働く友人達に採用側の目で魅力的な経歴になっているかチェックをお願いする、など出来うる限りのことに取り組みました。
その他にも現役通訳者によるセミナーに足を運び、キャリアパスについて自分なりに研究しました。振り返ってみると、まるごと誰かを真似るのではなく、自分の頭で考えて目標を立て(Plan)、実践し(Do)、結果を評価し(Check)、改善する(Act) という一人PDCAサイクルを回していたようです。そうしているうちに、クラスメートや元同僚から徐々に仕事の紹介を受けるようになり、経歴書に書ける職歴も増えていきました。

紹介された商談などの単発の仕事を経験した後、派遣という形で数週間から数ヶ月に及ぶプロジェクトの翻訳や通訳もいくつか経験しました。派遣会社への登録は、ほとんどの場合、経歴書の提出、面接、レベルチェックという流れでした。とにかく経験を積むために、できる限り登録数を増やそうとしたところ、最終的に11の会社に登録していました。レベルチェックにはその場で短い翻訳をすることもありましたが、PCスキルのチェックという意味合いもあったように思います。通訳力チェックは逐次通訳のみの場合もあれば同時通訳もありました。

その後、改めて営業担当者に意見を求めると、専門分野・得意分野があると案件が発生した際に紹介しやすいとのアドバイスがありました。IT、金融、医学の3分野のいずれかの業界で社内通訳者として稼働しながら専門性を身につけていくことの必要性を感じたのですが、結局は3分野全ての業界で社内通翻訳を経験しましたが、これがその後ちょっとしたコンプレックスをうむこととなったのです。
この続きはまた次回、最終回に。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

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