Tips/コラム
USEFUL INFO
プロの視点
『Hocus Corpus』 コトバとの出会いで綴る通訳者の世界 和田泰治
第15回
“circle back”
日本でも年の瀬になると「流行語大賞」なるものが話題になります。その時々の出来事や世相を反映した言葉が選ばれます。因みに昨年のトップ10はというと・・・・・
- ◆うっせぇわ
- ◆親ガチャ
- ◆ゴン攻め/ビッタビタ
- ◆ジエンダー平等
- ◆人流
- ◆スギムライジング
- ◆Z世代
- ◆ぼったくり男爵
- ◆黙食
- ◆リアル二刀流/ショータイム
本ブログで取り上げた「ぼったくり男爵」と「親ガチャ」がめでたく選出されています。その他にも「人流」や「黙食」など実際の通訳業務でよく出くわしたり通訳する際に頭を捻った言葉も並んでいます。
日本だけではなく世界でも様々な “Word of the Year”的なものが発表されていますが、今月の本題はミネソタ州のレイク・スペリオル州立大学
https://www.lssu.edu/traditions/banishedwords/
2022年に選ばれた言葉は以下の通りです。実際に自分で使ったことのある言葉も多く、「えっ!これダメなの?!」と心配になってしまいます。
- 1. Wait, what?
- 2. No worries
- 3. At the end of the day
- 4. That being said
- 5. Asking for a friend
- 6. Circle back
- 7. Deep dive
<ここからは新型コロナ関連の言葉です>
- 8. New normal
- 9. You’re on mute
- 10. Supply chain
追放の理由は「使いすぎ。飽き飽きしたよ」というものからその言葉の示唆する社会的風潮に対する疑義まで様々で、
さて、本稿ではこの中から
Treats colloquy like an ice-skating rink, as if we must circle back to our previous location to return to a prior subject. Let’s circle back about why to banish this jargon. It’s a conversation, not the Winter Olympics. Opined a grammarian, “The most overused phrase in business, government, or other organization since ‘synergy’”—which we banished in 2002 as evasive blanket terminology and smarty-pants puffery.
<Lake Superior State University>
2002年に追放された
さらに、間違いなくこの受賞にひと役買っていると思われるのがアメリカはバイデン政権のジェン・サキ報道官 (Press Secretary Jen Psaki)でしょう。記者会見で質問を受けたり追求されたりした際に
https://www.youtube.com/watch?v=T71Y-Ky9cOo
通訳者としては、『また、持ち帰ってあとで回答する?いつも即答してくれないじゃない。いい加減にしてよ』というようなちょっと嫌味なことを言う場面で使ってみたいところでしょうか。
もう一つ、リモート通訳の現場でしばしば出くわすおなじみのフレーズ
前述したとおりこのリストは1976年から毎年発表されています。それぞれの言葉の選定理由が示唆に富んでおり、その言葉が多用されていた社会的環境や世相を踏まえた文脈の中での語感を学ぶことができる貴重なサイトです。
今月は以上です。
それではまた次回までごきげんよう。
和田泰治 英日通訳者、アイ・エス・エス・インスティテュート 東京校英語通訳コース講師。明治大学文学部卒業後、旅行会社、 マーケティングリサーチ会社、広告会社での勤務を経て1995年よりプロ通訳者として稼働開始。 スポーツメーカー、通信システムインテグレーター、保険会社などで社内通訳者として勤務後、現在はフリーランスの通訳者として活躍中。
仕事を探す
最新のお仕事情報